父を偲ぶ日
今日は父の十三回忌だった。
あの日も今日と同じ暑い一日だった。
青空に灰色の煙が細く細く伸びていった日、子供のように泣きじゃくったのがつい昨日のようなのにもう13年になる。
父親は7人兄弟の長男で、責任感が強く、両親、兄弟を大切にした実直な人間だった。
兄弟は、嫁の立場の母や叔母たちが振り回されるほどの強い結束力があった。
誰かが入院をすると大騒ぎでその日のうちに集合し、金太郎飴のようなそっくりな顔を並べてナースさんをからかうのが常で、父は上機嫌だった。
父はたしか84歳だったと思う。
さすがに13年も経つと叔父たちも高齢になり、娘息子の手を借りなければ集まることも容易でなく、頼りの娘息子たちは孫の世話をしている世代。
今日は近親の家族のみで行うことにした。
蝉の声とお経のコーラスに高齢のお坊さんの咳き込みも加わり、長いお経の間には二度の給水タイムも加わった。
母は座椅子で居眠りをし、孫たちは広縁を海に見立てて泳いでいる。
会社員の私は少し窮屈だけど、日常の小さなひとつひとつがとても愉しい。
厳かなはずの法事も妙に面白可笑しくて、主役の父も自由なひ孫の愛らしさに目を細めていることだろうと思える、心が喜ぶ愉しい一日だった。
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